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ここでもう一度。わたしは、かわいい。美少女である。
このかわいさは、母さんゆずりだ。母さんは日本を代表するトップモデルだった。残念ながら、わたしが小学校二年生のときに亡くなってしまったんだけど……。
いつもきれいに笑ってて、わたしを抱きしめるときにふわっと香るやさしい香り。母さんのことは、ずっと心に残ってる。
大好きな母さんに影響されて、わたしも小さいときに、モデルをはじめたんだ。
みんな、「かわいい」ってほめてくれるし、人気だってある。
あまりにもわたしが美少女なせいで、目があっただけで、みんながわたしのことを好きになっちゃうくらいなんだよ。
だから、目を隠すために、ダサいメガネをかけているってわけ。
「なのに、どうして、三条ソウマは無反応なのよ……!」
思い出しただけで、イライラしてきた。超絶キュートなわたしを見て、なにも思わないって、そんなことある⁉ こんなのはじめて! くやしい!
っていうか、三条くん、なんの話してたんだっけ?
「おまじないがどうの、とか、言ってたっけなあ……」
クッキーをかじりながら、はなのんが不思議そうな顔をした。
「おまじない? 三条くん、そういうの好きなの? 意外だね、真面目そうなのに」
「だよねー。三条くんってロボットっぽい!」
でも、おまじないかぁ……。
「してないけどなあ。もう、まじ、意味わかんないっ! 癒して、はなのん~」
「きゃっ。もう、エナちゃんってば~」
ひしっと、はなのんに抱きつけば、はなのんは困ったように笑う。かわいい。
……しっかし、三条くんてば、ほんとに、なにがしたかったんだろ?
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