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「エナ、大丈夫かい?」
「うん……。お父さんは仕事行ってきていいよ」
わかった、とお父さんは心配そうにうなずいて、わたしの部屋を出ていく。わたしはため息をついて、ベッドに寝転がった。
平日の昼間。いつもなら学校で授業を受けてる。この時間は、国語かな。みんな教科書を開いて、かりかり、えんぴつを動かしているんだ。
「わたし、なにやってるんだろ……」
ごろん、と寝返りを打つ。
ひとと目を合わせちゃいけない。外に出て、だれかに好かれちゃいけない。
三条くんに迷惑をかけられないんだから。そう思うと、部屋を出ることが怖くなった。
そうやって悩みすぎたからか頭が痛くなって、今日は学校を休ませてもらったんだ。
スマホがふるえた。
「あ、三条くんだ……」
授業中、いや、いまは休み時間なのかも。だとしても、校内でスマホを使うには許可がいる。それも、よっぽど大事な用事がない限りは、先生の許可はもらえない。
まさか、こそっと使ってる?
そりゃあ見つからないように、隠れてスマホを使う子たちはいるけど。三条くんがそんなことするかな?
メッセージがひとつ。相変わらず、短いひと言。
『大丈夫か?』
「……こんなときまで、心配してくれるんだ」
わたし、マジモノを祓わない、なんて勝手なこと言ったのに。そんな三条くんに申し訳なくて、胸がぎゅっと苦しくなる。スマホを枕もとに伏せて、目を閉じた。
もう、どうしたらいいのか、わからないよ……。
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