第十一章 不安

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「エナ、大丈夫かい?」 「うん……。お父さんは仕事行ってきていいよ」  わかった、とお父さんは心配そうにうなずいて、わたしの部屋を出ていく。わたしはため息をついて、ベッドに寝転がった。  平日の昼間。いつもなら学校で授業を受けてる。この時間は、国語かな。みんな教科書を開いて、かりかり、えんぴつを動かしているんだ。 「わたし、なにやってるんだろ……」  ごろん、と寝返りを打つ。  ひとと目を合わせちゃいけない。外に出て、だれかに好かれちゃいけない。 三条くんに迷惑をかけられないんだから。そう思うと、部屋を出ることが怖くなった。  そうやって悩みすぎたからか頭が痛くなって、今日は学校を休ませてもらったんだ。  スマホがふるえた。 「あ、三条くんだ……」  授業中、いや、いまは休み時間なのかも。だとしても、校内でスマホを使うには許可がいる。それも、よっぽど大事な用事がない限りは、先生の許可はもらえない。  まさか、こそっと使ってる?  そりゃあ見つからないように、隠れてスマホを使う子たちはいるけど。三条くんがそんなことするかな?  メッセージがひとつ。相変わらず、短いひと言。 『大丈夫か?』 「……こんなときまで、心配してくれるんだ」  わたし、マジモノを祓わない、なんて勝手なこと言ったのに。そんな三条くんに申し訳なくて、胸がぎゅっと苦しくなる。スマホを枕もとに伏せて、目を閉じた。  もう、どうしたらいいのか、わからないよ……。
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