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この街は一本の芯の通った理念で構成されている。
“人に嫌われるやつには嫌われる相応の理由がある。だから、そんな人間を消すシステムがあるのは当然だ。”という理念である。
「ほ、本当に”事故”だったのかな。だって、カスミちゃんが特別嫌われてるなんて話、聞いたことないし」
「知らない。私達の知らないところで恨みを買っていたのかもしれないし。幼馴染だからって交友関係の全部は掴めないもの」
詳細は殆ど分からないけれど、私は幼馴染だということで特別に血がべっとりと付いたカスミのカーディガンを見せてもらった。制服の上に羽織っていたものらしいが、薄いベージュの色を塗りつぶすほどの赤黒い血液が付着していた。
私が遠い昔にプレゼントしたワニのピンバッジも、固まった血で汚れてしまっていた。
(あの血の量ならまず助かってない)
見た情景のあまりのグロテスクさにそれを笹目マリに話そうとは思えない。だから、私は下手な希望を断つようにこう断言した。
「あれは”事故”。もうカスミは帰ってこない」
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