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笹目マリの顔は私を非道なものでも見るかのように歪められた。
「そんな言い方......。噂で聞いたよ。美柑ちゃん、カスミちゃんが居なくなる直前に喧嘩してたんだってね。もしかして、美柑ちゃんがーー」
「いいかげんなことを言わないで。カスミとは意見の相違があっただけ。幼馴染の彼女のことをそう簡単に疎んだりしない」
「でも! 簡単に友達のことを死んだなんて言うなんて酷いよ!」
笹目マリは私を通じて斎藤カスミと最近仲良くなったばかりだ。それなのに、こんなに熱くなれるのは彼女の性格なのだろう。私にはわからない。事故に遭ったということはネオ東京02第一区のコミュニティで不要と判断されたのだ。
落ちこぼれ、ゴミだと言い換えても良い。
消されてしまった以上、斎藤カスミはネオ東京02一等民から排除されるべき存在だったと私は思っている。私が怪訝そうな顔をしていると笹目マリが荷物をまとめて立ち上がった。
「ごめん。今日はもう私帰るから」
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