【第二章 五節 裁断鋏とまち針】

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【第二章 五節 裁断鋏とまち針】

(......あ............)  右頬や歯がズキズキと痛むのは、出会い頭に銃で殴られたからだ。こんなに痛いのは初めてで、殴られた瞬間に意識を飛ばしてしまったらしい。  今わかることは私を取り囲んで居るのは5人で、今は夕暮れで、私は手足と縛られていて口に猿轡をされて、野外、焚き火を前にどう殺されるかの相談を聞いているということだ。  投票前に投票所の前で焼き殺されたり、石を投げて殺されたり、はたまたギロチンのようなものを用意したりと、私を嬲り殺しにする案のいくつもが耳を通っていく。  私を殺すという案が出てくるということは、お父様の法に反対している赤いハチマキの集団か、お父様自体に反感を抱いている人々だろう。  隠し持っていたナイフはバレていないけれど、取り出すことも出来ない。むしろ素人の私が刃向かったところで複数人の男には逆効果ですらある。
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