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「それで私を殺して満足なの!? あなたの生活も二等民を取り巻く環境も、何も変わらないわ!」
「変わるさ。俺が一瞬、スカッとする」
「ーー!」
私の命は今、一瞬の快楽のために散らされようとしている。
「明日まで待つ必要なんてない。今ここでお前を殺す。賢者は役に立つから軟禁しろと言われていたが、お前に用事はない」
鈍い銀色のナイフが私に迫ってくる。
絶対絶命のピンチに私が叫ぶ名前は一つだけ。
「助けて......助けて、マオ!」
彼は今一区に居るはず。あの時と同じ。ここに助けに来れるはずなんかない。でも、聞こえた声は幻聴ではなかった。
「助けに来たよ、伊瀬知さん」
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