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男の身体が不自然に動きを止めた。糸のような何かで身体を絡め取られているようで、引き出したナイフを持つ腕がピクリともしない。
そのナイフを私が一番会いたかった人が取り上げる。明るい銀髪の少年。この銀色を見ると安心する。
「マオ......さん。助けに来てくれた......んだ」
「呼びにくかったら呼び捨てでも良いですよ」
この場面にそぐわない会話はまさしくマオで、私の殺し屋のボディーガードだった。男はマオの手にあるアザを見て激昂する。
「なんなんだお前は! さっきの女も! 二等民なのに一等民に味方するのか!」
「一等民だとか二等民だとかは関係ありません。この世界では自分の力で努力して前に進める人間と、そうでない人間の2種類が居るだけ。あなたは、どちらの人間ですか?」
マオは淡々とワイヤーのようなもので男を締め上げる。
「大丈夫、痛いのは最初だけですから」
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