19人が本棚に入れています
本棚に追加
*
「殺し......たの?」
「いいえ。気を失わせただけです」
私にはよく見えなかったけれど、マオは明らかに男に何かをしていた。ガックリと弛緩した男の身体は泡を吹いている。
倒れた男の持ち物を漁って、マオは私に一枚のカードを手渡した。
「身分証は手に入れました。遅くなってすみません。帰りましょう」
マオは座り込む私に手を差し出す。前は差し出されなかった手だ。私はその手を握って、温もりを確認する。
「待って。友達が私の身代わりになって」
最初のコメントを投稿しよう!