【第二章 六節 決断】

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「賢者様、勅使河原先生に伝えなきゃ。銀粒粉の産出場所は限られていて、ネオ東京02の政府が秘匿してるの。だから、先生は二区で銀粒粉が採れる場所を探していた」  政治的なことは私にはわからない。だけどきっとここの情報で先生の立場は大きく変わる。私は先生の計画をマオに話した。 「ねぇ、マオ。私、このことを私の恩師の先生に伝えにいきたい!」 「それは......俺の仕事ではありません。それに危険です。伊瀬知さんのことは二区でも既に噂になっていて、素性がわかれば憎しみをぶつけてくる人は少なくないでしょう。特に、この地区の人達は」 「どういうこと?」  マオはポケットに入れていたノートを出すと、簡単にネオ東京の地図を書き出した。 「この地区の特産品はネオ東京02一区向けの服飾でした。それをネオ東京01から機械製造の衣類を安く輸入してこの地区を貧しくさせた犯人が議員になる前の伊瀬知智蔵です。食や衣類の生活水準は下がり、壊れた水路やアバラ屋を修理するお金すらありません」 「ーー!」
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