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女神の微笑み
夕暮れの中、1対30対50の三つ巴の小規模な魔法戦争が起きていた。テオは軽々と魔法攻撃を回避・防御しながらルナを探している。
「クソッ! テオドロスまで来ただと……!」
そういうと、村長は槍を持って来て、おもむろにルナの右肩を突き刺した。ルナは悲鳴をあげる体力すらなかった。
ルナを貫通した槍を引き抜く。血がどくどくと出ている。
「そ、村長、何を……!?」
「これでもう、この娘は飢えに耐えられんだろう。これ以上耐えれば死ぬのだからな!」
その時、パトラは目を覚ました。肩に穴が空いていながらも、パトラを守ろうとしているルナがいた。
「そんな……! 本当に、本当に私…… ごめんなさい……」
村長が言う。
「ヴァルバラ様!早く飲まないと死んでしまいますぞ!」
「……」
パトラは決心した。
「ルナ様…… 私の血を、飲んでください……。もう、我慢しなくていいんです……」
穏やかな、女神のような微笑みで、パトラは言った。
ルナは数秒止まった後、ガッとパトラの首に噛みついた。
「あぁっ……! ん……っ!」
ちゅうちゅうちゅう、とルナは久しぶりの食事を摂った。しかしそれはもう、ルナではなかった。
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