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アリスの頼み
「テオ君、ルナのところにも顔出してあげて、剣の正式採用の話もあるし」
「心配し過ぎでは?アリス様。まだルナが帰ってから数日です。そうそう何度も襲われないと思いますが」
「何となく心配なんだよ! 私は執務があるから今は王宮抜け出せないの……」
「いやどんな時でも抜け出さないでくださいよ……」
近衛兵団としては、ルナの父ヴォルフの剣を正式採用することがすでに決まっていた。その報告を兼ねて、アリスの頼みを聞くことにした。いや、実際のところテオドロスはルナの正体にも個人的興味があった。
常人とは思えない剣の強さはもちろんのこと、なぜ致死量を大きく越える麻痺毒で死ななかったのか。
そしてもう一つ、なぜ5人の暴漢たちは大型魔物用の麻痺毒を使用したのか。
――人に使う時に希釈することを知らなかったとしても、わざわざ大型魔物用の高価な麻痺毒を購入する必要はない。羽振りがいいわけでもないゴロツキがなぜ……?
「まぁ、ついでなので顔を出してきます」
「ありがとう!テオ君!」
テオドロスの手を握るアリス。
幼馴染でどれだけ見慣れていようと、黄金の髪とサファイアの瞳はどうしても眩しかった。
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