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決着
「決着はついたようだな」
「そ、そんな……」
貴族とその兵士たち3人は膝をついた。
「ゲイル、貴様らは取り調べを行う。ウォール、セリア、連れて行け」
「そ、そんな……! この女と戦えと言ったのは貴方も同じではないですか!私は正々堂々、1対1にした方が良いと……」
「そのことではない。別件だ」
「く、クソぉ!」
ウォール、セリアと呼ばれた二人の近衛兵が、4人を連行するために手縄をかけている。
「あとは頼む」
「はいっ!だんちょー!」
セリアと呼ばれていたのは、肩にかかるくらいの綺麗な桃色の髪に、大きめの白いシャツをワンピースのように着ている10歳くらいの女の子だ。ウキウキしながら任務に励んでいる。
「セリア、お前はもっと緊張感を持て……」
ウォールという男は見たこともない程の巨漢であり、茶色のボサボサとした髪に緑色の目、声は低く野太く、それでいて優しかった。おそらく近衛兵の最小・最大コンビであろうと思われた。
残されたルナと団長は、いつのまにか野次馬に囲まれていた広場から店内へと移動した。
「紅茶淹れますね」
ルナが紅茶を淹れている間に、近衛兵団団長は会話を切り出す。
「実はもう、ヴォルフさんの剣は正式採用が決まっていたんです」
「え……」
「なので、さっきの戦闘はむしろ私の個人的興味が半分、実力を詳しく把握しておきたいという団長としての責務が半分、といったところです。失礼しました」
「そうだったのですね」
どうぞ、とルナはテオドロスに紅茶を差し出す。
「ところで……」
テオドロスは一呼吸置いて言った
「単刀直入に聞きます。ルナさん、あなたは何者なんですか?」
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