決着

1/1
前へ
/153ページ
次へ

決着

「決着はついたようだな」 「そ、そんな……」  貴族とその兵士たち3人は膝をついた。 「ゲイル、貴様らは取り調べを行う。ウォール、セリア、連れて行け」 「そ、そんな……! この女と戦えと言ったのは貴方も同じではないですか!私は正々堂々、1対1にした方が良いと……」 「そのことではない。別件だ」 「く、クソぉ!」  ウォール、セリアと呼ばれた二人の近衛兵が、4人を連行するために手縄をかけている。 「あとは頼む」 「はいっ!だんちょー!」  セリアと呼ばれていたのは、肩にかかるくらいの綺麗な桃色の髪に、大きめの白いシャツをワンピースのように着ている10歳くらいの女の子だ。ウキウキしながら任務に励んでいる。 「セリア、お前はもっと緊張感を持て……」  ウォールという男は見たこともない程の巨漢であり、茶色のボサボサとした髪に緑色の目、声は低く野太く、それでいて優しかった。おそらく近衛兵の最小・最大コンビであろうと思われた。  残されたルナと団長は、いつのまにか野次馬に囲まれていた広場から店内へと移動した。 「紅茶淹れますね」  ルナが紅茶を淹れている間に、近衛兵団団長は会話を切り出す。 「実はもう、ヴォルフさんの剣は正式採用が決まっていたんです」 「え……」 「なので、さっきの戦闘はむしろ私の個人的興味が半分、実力を詳しく把握しておきたいという団長としての責務が半分、といったところです。失礼しました」 「そうだったのですね」  どうぞ、とルナはテオドロスに紅茶を差し出す。 「ところで……」  テオドロスは一呼吸置いて言った 「単刀直入に聞きます。ルナさん、あなたは何者なんですか?」
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加