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尋問
「何者……と、言われましても……」
困惑するルナの様子を見て、人外の身体能力や毒耐性を持っている自覚すらないことにテオは呆れた。
「あなたが危険な人間だとは思いません。ですが、おそらくあなたには何か特殊な体質、能力が備わっていると私は考えています」
ルナの目が少しだけ怯えているのを察したが、聞かなければならないと思い、続けた。
「あなたは強すぎる。そしてもう一つ、あの日あなたが打たれた麻痺毒ですが、あれは大型の魔物用の物の原液でした。希釈しなければ人間は麻痺どころか確実に死ぬはずなんです」
「……ごめんなさい。わかりません」
「……」
予想通りではあったが、ルナ自身は本当にそれらのことについて身に覚えがない様子で、少なくともこれ以上何かを聞いて聞き出せる事はないと、すぐにテオドロスは判断した。
「変なことを聞いて申し訳なかった」
「……いえ、こちらこそ何もわからずに、すみません」
「あなたが望むなら、アリス側付きの近衛兵となることが出来ます。そして私の部下ということにもなる。よく考えて答えを出して欲しい」
「……はい」
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