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アリス
5人の男達は意識を失い、近衛兵に引き渡された。ルナもまた意識を失っていた。
鍛冶屋の外は野次馬だらけだったが、その多くがルナを心配していた。そして同時に、ルナを介抱する金髪の少女に釘付けとなっていた。誰かが口を開く。
「あの女の子……アリス王女に似てないか……?」
「それ、言おうと思ってたんだよ俺も。まぁ、実際見たことないし、外見も噂でしか聞いたことないけど…」
「あの方はアリス王女で間違いない……。わしゃアリス王女の母君、エルザ王妃をこの目で一度見たことがある。そっくりじゃ……」
小さな町のご意見板的な人の発言は、その町に住む人々にとってとてつもない影響力がある。そしてそれは大体の場合有益で、正しいものだ。
「アリス様ー!」「アリス王女!万歳!」
盛り上がる人々に、ニコニコと無邪気に手を振るアリス。
「声援、あーりがとー!」
反対に、はぁ、とため息をつく一人の近衛兵。
「アリス様、外套は脱がないようにと、いえ、そもそも街を出歩くこと自体……」
「はいはーい、ごめんなさーいっ」
――全然反省してねぇ……!
「とりあえずルナを王宮で保護するね。テオ君、あとよろしく。」
「……わかりました」
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