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 全てが黄金のように見えた。もちろん本当に全て黄金というわけではないが、完璧なデザインに裏打ちされた家具や宝飾の数々、見たことのない広さで妖精が住んでいそうなお風呂、廊下やお手洗いに至るまで広さと煌びやかさに圧倒された。  使用人はみんな品位が高く親切で、世話をしてくれた人や通りすがった人を合わせるとおよそ30名ほど。王宮全体だと一体何人いるのか、見当も付かなかった。  食事もあまりにも美味しく、助けてもらった身で図々しくもおかわりしてしまった。スープがとにかく染み渡った。美味しさだけでなく、栄養も優れていると身体が歓喜の声を上げた。  食事をしながら、命の恩人がアリス王女であること、アリスは雷の魔法の使い手で、その魔法で5人の男を倒したこと、それから私を保護して王宮に連れてきてくれたこと、膝枕までしてくれたこと、それから直接言われてはいないけど、キスされたらしいことを知った。 「ねえ、ルナ、アリスって呼んでよ〜」 「それは……」 「命の恩人の言うことが聞けないのかぁ〜」 「うっ……わかりました……」 「うんうんっ、さぁどーぞ!」 「アリス……様」  この国で王、王妃の次の位にあり、さらには命の恩人。頭が上がらないどころか、地中に深く頭を突き刺しても足りない。  だが、王女はその頭を強引に掴んで、その美しい顔の目の前に置いた。ぷぅと頬を膨らませている。  食事が終わり、メイドのクロエが食器を片付けに来た。 「王女は面倒くさいでしょう?仲良くしてあげてくださいね」  と、小さく耳打ちした。クロエが今日初めて、ほんの少し笑ったように見えた。
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