現実世界2

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現実世界2

 友達が出来たことは人生で一番嬉しかったけれど、それが幽霊である場合に生じる様々な問題を私は分かっていなかった。というか、美月ちゃん特有の問題かもしれなかった。  彼女は幽霊らしく消えることが出来る。もちろん、他の人には最初から見えないし触れないんだけど、彼女は私の前からも、消えようと思えばいつでも自在に消えることが出来た。  でも、美月ちゃんは消えない。寝る時も、お風呂の時も、お手洗いの時でさえも……。  私はトイレの個室に入ってなんとか説得を試みる。 「それはね、趣味……じゃなくてっ! えーっと、えーっとぉ……。習性!……だから仕方ないかも!」 「習性ってー……?」  私は怪しいなぁと思いながら、じーっと美月ちゃんに視線を送る。 「そ、そう! 私ね、きっと守護霊なんだよ!結衣ちゃんのっ。だからさ、常に守ってあげたい〜的な! 片時も目を離せないっ!みたいな!」  そのような言い訳をしていたけれど、結局のところ美月ちゃんは、"恥ずかしがる表情を見るのが好き" なのだと思う。 「にひひ」  また、説得出来なかった……。私が尿意に負け、顔を赤らめて恥ずかしがる表情を、美月ちゃんは満足気に楽しんでいた。
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