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≪理お兄ちゃん視点≫
食事も終わり会社に戻ると、まだ休憩時間があるからと、僕は妹がいるカフェに向かった。
廊下を歩きながら登坂さんのアドバイスを思い出す。
僕は拳を握って覚悟した。
石川さんと話そう。話して全部スッキリさせよう!
「あ、理さん。お疲れ様です」
「ひ、ひええぇぇーっ!!」
心構えをしたはずなのに、突然現れた石川さんに挨拶されるや僕は走って逃げた。
ああっ情けない!理はなんて情けないんだ!
不甲斐なさに涙まで滲んだ時、「待ってくださいっ」と後ろから声がした。
走りながら後ろに首を回すと、なんと石川さんが僕を追いかけている。
きぃぃぃやああああーっ!
僕は心の中で悲鳴をあげ、スピードを上げる。
だけど、確か元陸上部と言っていた石川さんの方が足が速くて。
「理さんっ!」
肩をグワシと掴まれてしまった。
血の気が引いた僕は、家にある豚の貯金箱にいくら入っているだろうかと考え始めた。
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