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「あの、でも、ちょっと素朴な質問なんですけど…。兄のどこら辺がいいんですか?」  すると石川さんは悩んだ様子もなくすぐ答えた。 「見た目がもう一番キタっていうのはあるんだけど、話していくと、純粋なところとか、顔に出ちゃって嘘つけれないところとか、真っすぐなところとか見えてきて。そういうところかな。あ。あとね、妹想いのところも」 「妹想い?」 「うん。登坂さんがね、歓迎会のあとに言ってたの。理君のこと情けないって思ってたけど、違ったって。ふみちゃんのことずっと守ってたんだって。こないだ理君に訊いたら、昔のこと少し話してくれて、ふみちゃんに誇れるお兄ちゃんになるんだって言っててさぁ。あたし、益々好きになっちゃって。どうしよう」  兄がそんな話をしていたなんて。  急に様子が変わった兄に困惑ばかりしていたけれど、昔の頼れる兄が戻ってきたことは素直に嬉しい。  変わるきっかけがなんだったのかはまだわからないけれど、きっと石川さんや、兄の周りにいてくれた温かい人達からの影響があったのかもしれない。  兄を好きだと言って照れてくれる石川さんのことを、私はもっと好きになった。 「兄は、石川さんと付き合うようになってから、良い方向に変わっていってると思うんです」 「そうなの?」 「はい。多分、石川さんのお陰なんです。だから、これからも兄のこと、よろしくお願いします」  そうお伝えすると、石川さんは少し照れたようにして頷いてくれた。  ご注文のカフェラテを作りカウンターに置くまで、来週の祝日は二人で遊園地デートなんだと石川さんは話してくれた。 「デート、楽しみですね」 「うん。ありがと、ふみちゃん!今度また、ふみちゃんともデートに行きたいな」  私が男だったら今のでイチコロになるような笑顔を向けて、石川さんはカフェラテを持ち、手を振りながら去っていった。  私も手を振って見送りながら、兄と石川さんの交際を改めて喜び、見守っていこうと誓うのだった。
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