不器用なわたしたち

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　そういえば、妹にケーキを買ってくるのはいつも父だった。

　スーパーで一人前のショートケーキを三つ買って来て、妹のケーキにだけろうそくを一本刺して「願い事決めたか？よーし、吹け！おうおう消えたな！おめでとう、ふみ！」と祝っていたっけ。

　こないだ父に偉そうなこと言ったけど、誕生日ケーキを用意して祝ってあげた父の方が、僕なんかよりよっぽど優しくて家族想いなのかもしれない。

　過去を振り返れば後悔ばかりだ。
　情けなくてダサくて、思い出すと辛くなる。

　でも、僕は変わりたい。
　妹の為に変わるって決めたんだ。
　兄としての名誉挽回はまだまだ時間がかかるかもしれないけど、反省したあとは悔いが残らないように進むしかない。

　よし！と気合いを入れ直し、妹がどんな誕生日を過ごしたいのかと訊こうとした。

　しかし、このタイミングで父が帰ってきた。
　しかも、女性を連れて。