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「サムもさ、なんか恋愛相談とかあったら言ってよ。俺、そこら辺のアドバイスは得意だから」 「恋愛相談なんて…」  僕にあるわけないと思ったが、いやちょっと待て、あの裸体事件はもしかするとその手の話なのではないかと思い直す。 「何かあるの?言ってみ?」 「………それが」  躊躇はしたが、僕は相談することにした。  でも相手が石川さんだということは伏せておく。登坂さんはなんとなく、口が軽そうだから。  話し終えると、登坂さんは「サムが朝帰り…」と意外そうにしていたが、コーヒーを飲み干すと恋愛のエキスパートみたいな顔をした。 「それはね、うん。あれだね、相手の人との進展を望んでいるなら、ちゃんと会って、実際に何があったのかとか何をお互い思ってるのか腹を割って話し合うべき。このまま逃げてたらサムは無責任な人ってレッテルが張られるよ。てか、むしろもう張られてるね、確実に」  登坂さんのアドバイスに僕はぐうの音も出なかった。  というか、登坂さんに相談しなくとも、自分でもわかっていることだった。  ちゃんと話さないといけない。説明しないといけない。聞かないといけない。
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