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ちょっとした違和感
あれ?歯ブラシの向きが鏡側に向いている。歯磨き粉の置いている場所がほんの少しズレている。
鏡に映る僕は目を見開いて、少し転けながら、リビングに行き、初彼女にビデオ通話をかける。
圏外になっていますが、出てまたビビる僕。たまたま電波が悪かっただけで、石橋千恵のラインビデオ通話画面は表示されている。
『もしもーし』
おっとりした声とたれ目で癒される彼女が画面に映りホッとする僕。
「石橋さんって視えたりする?」
手の甲を下げてうらめしやポーズをする僕にうふふとおっとりした笑い声が返ってくる。
そうして呑気に、夏だからねぇ~
なんて言うんだ。今さっき起きたことを話して聞かせると、乱雑に置いて歯ブラシが回転しただけじゃないの?と微笑む。
『わたし霊感女子じゃないから、わかんないけどね。思い込みなんじゃない?来栖くん、歯ブラシで動揺して歯磨き粉の位置が気になっただけだよー』
信じてくれない石橋さんに通話状態にさせたまま、洗面所へと向かう。
え?
黄ばんだ円に歯磨き粉が置いてある。確かに僕は見たのに動揺してたのかな?
「ごめん、ごめん。僕の勘違いだったみたい。石橋さんの声で安心したよ。ありがとう。うん、またね」
些細なことでビビる彼氏を見せてしまった。情けないな・・・
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