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しかし、その右手は殴ったりすることなく、何故か俺の髪の毛をすくった。
そして、フッと爽やかに微笑む。
何この少女漫画にありそうなシーン。
どういうつもりなのかわからず呆然とする俺をほったらかしに、本間は衝撃の一言を発した。
「俺、お前のこと抱けへんから。」
「…は?」
「だからタチネコ聞いたんやろ?本気で抱かれたいなら、まずこの髪の毛とメガネどうにかしてこいよ」
馬鹿にしたようにそう言って笑い出し、俺の髪をワシャワシャとかき回す。
もはや俺の過去に相当問題があったのか、こいつが自意識過剰すぎるのか分からなくなってきた。
「まあ、どうにかしたところで抱く気はないんやけどね」
いやだからさぁ…
バチッ
「誰がてめぇのこと好きつったよ!?」
髪を触ってる手を弾いて、一区一区区切りながら人差し指で本間の胸をつつく。
「え、何、ちょっ、ウギャッッ」
気圧されたのか一歩後に足を置く、とそこには丁度先輩が集め損なったジェンガがあり本間は盛大に滑って尻餅をついた。
身長差が逆転した今が好機…!
「抱く気にならねぇとか、何様のつもりだよ。こっちにも選ぶ権利あるんだけど。」
「ちょ、まっ、くんな!おい、止まれ」
「このナルシストが!」
ガンッ
「ヒッ」
一度はやってみたいと思っていた足ドンをまさか男相手にやるとは思ってなかったがちょっと悪くないなと思ってしまった。
壁を蹴ったとき委員長の声が聞こえた気がしたが無視。
「安心しろよ。もしヤルことになっても」
口をパクパクさせている本間に一言。
「お前にオスの立場はやんねぇから!」
部屋に本間の悲鳴と先輩達の笑い声が響いたのは言うまでもない。
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