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「うわ、れーちゃん!」
「大丈夫?!」
後から走ってきてやってきた双子が、マツゲくんに駆け寄る。ヘラっと困ったような顔をして、双子と何か会話をしはじめた。
爆速で走ってたマツゲの数メートル後ろを、謎にこの三人が爆走して追いかけてて、マツゲくんが俺とぶつかって、そこを目撃した会計が俺にマツゲくんが殴られたように見えた…って感じか。
どういう状況。
二言三言くらいはなすと、双子は顔を見合わせ俺からマツゲくんを背にかばうように立った。
「最近荒れてると思ってたら、まさか手上げるなんて。」
「今までもコソコソ嫌がらせしてた感じー?」
………え?
マツゲくんと話したんだよな?ぶつかっただけって言ったんだよな?え?
俺何もしてないんだけど。
なんか言えよ、マツゲくん。
「俺何もしてないっすよ。ぶつかっただけ。」
「何その話し方…」
そういうなり双子もコソコソ話しはじめた。
お前らもか。
「………。」
あ、ワンコ書記きた。
やば、4対1じゃん。不利すぎる。
俺、いまだにこいつのよさわかんねぇんだよな。
なんかふてぶてしいっていうか。
かわいくない。
今だって、またお前かよって顔してる。風紀委員長の方がかわいい。
でも顔はいいからいっか。
じっと見てると、目が合った。
するとこちらに近づいてきだす。
身構えていると、書記が腕を振り上げ、またかなんて思って腕で顔をガードした。が、その手は俺にあたらないギリギリを通って、一人でぶつぶつずっと何か言い続けていた会計の肩に届いた。
なんだ、俺じゃなかった。
超スレスレで殴ってきたのはわざと気がするが。
バゴッッと地味に痛そうな音が鳴ると同時に会計がハッとして顔を上げて、スッと息を吸い
「やっぱり今までのは俺らに好かれるための演技だったわけかさすが面食いのビッチはヤルことが普通じゃないそんなふうに人に媚うりまくってたから結局みんないなくなってくんだよまあそのあとの荒れっぷりはみててすっきりしたわ自業自得だよざまあみろ」
急に壊れた機械みたいにノンブレスでしゃべりはじめた。
いや、どうした?!
そんな壊れるほど肩パン強かったんか?!
書記もは?みたいな顔でみてんぞおい!
「…なんか言ったら?」
今度はスンッと表情を消して、抑揚のない声で、でも腕だけは力強く俺の襟首を掴んでくる。あんた襟首好きね。
もう本当にどうした。
ここまで情緒不安定な人はじめて見たわ。
過多すぎる情報を脳内で処理しようと頑張ってるときに更に追加された会計の奇行。
「ええ、なっ、え…」
こんな情けない声が出るのは仕方ないと思う。
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