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何の話かわかんないけど何か言わないと殴られそうな気がする。
えーと、えー、…。
めんどくさ。もういっそのこと何の話だとか言っちゃおうか。
「あ!来栖君!」
ちょっと虚無った顔をし始めたとき、階段の方から、大きな声で俺の名前が呼ばれた。
誰!?5対1は無理!
生徒会メンバーじゃないことを祈りつつ見上げれば、えっと声がこぼれた。
そこにいたのはついさっきまで探していた本間がいたからだ。
「風紀委員長が話があるから連れてこいやって。」
ナイス委員長!!ついでに本間も!
俺いまだに襟首掴まれてるんだが、よくこの空気で話しかけられたな。
会計達もこの空気で誰かが入ってくるとは思わず、少し焦ったように怒鳴った。
「今取り込み中なんだけど!?よくこの空気で話しかけようと思ったね。悪いけどあとにしてよ。」
「んー…。でも結構急ぎみたいやしなぁ…」
そこでチラッとマツゲくんに目をむけて、人当たりの良さそうな笑顔を浮かべた。
「なんか、逆に呼んできた方が良さそうな状況みたやねっスネ。呼びましょか?」
ゾワッと体中の産毛が逆立ったきがした。
キモ!
なんだその好青年みたいな笑顔!
教室でも委員会でも見たことないぞ。
あとそのぎこちない話し方はなんだ。新しい日本語つくんな。
「別に僕たち」
「風紀呼ばれて困ることないもーん」
俺もないけどな。
「はー?なんでそんな面倒くさいこと…」
さっきまで不安定だった会計は、水をさされたせいか、元々のチャラい感じにもどった。
これは風紀委員長呼んでくる流れか?
俺は何も悪いことしてないけど、こんな敵ばっかじゃそれ証明出来る自信ないぞ。
今までの行いも悪かったみたいだし。
あ、でも委員長ならワンチャン…。
「いいです、呼んでこなくて。忙しい彼らの手を煩わせるほど大した事でもないので」
…………ん?
「え?」
ニッコリと、これまた本間に引けを取らないくらいにこやかな笑みで、マツゲくんが立ち上がった。
もう鼻血はとまったらしい。
ちなみに俺はまだ出てる。
ぴえん。
「そうっすか。それじゃ。」
それだけ言って、本間は俺を会計から引き剥がしそのまま引っ張っていってくれた。
「え、ちょっと…」
何か言おうとしてくる会計を尻目に遠ざかっていく。
うわ、襟首ヨレヨレだ。
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