喪失

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拾ったタクシーに乗せられ、向かった先は──近くのビジネスホテル。 部屋に入るなり、脱衣所に引っ張り込まれ服を全て脱がされる。 『……なんだ、コレは……』 暖色系の照明の下、晒される傷だらけの裸体。 首筋から腰の辺りまで、無数に散りばめられた鬱血痕。左の鎖骨下から右の肋骨に向かって、刃物で浅く切られた傷痕。手首や腕、足首には、手や紐で縛られた圧迫痕があり、痛々しい程に痣になっていた。 『集団で、やられたのか……』 『……』 竜一の言葉に俯き、背中を丸め、こくんと小さく頷く。 『……しょうもねぇ女だな』 スーツのジャケットを脱いだ竜一が僕を浴室に押し込めると、シャワーヘッドをホルダーから外し、キュッと蛇口を捻る。勢いよく噴き出す水。ザーという音が、狭い浴室内に響く。 『向こうの壁に、手ぇ付いてろ』 『……』 言われるまま怖ず怖ずと竜一に背を向け、浴室の壁に両手を付く。その刹那、水圧の強いシャワーがザッと背中に掛けられる。 『……傷だらけじゃねぇか』 抵抗した時、畳に擦れて傷になってしまったんだろう。湯が滲みて、ヒリヒリと痛い。 『足、広げろ』 命令口調に脅え、身体が竦む。 ……まさか……ここで…… 恐怖が足元から這い上がる。 情けない程にぶるぶると身体が震え、絶望を感じながらも力を籠めて僅かに足を広げる。その下肢の間から、とろりと男達の精液が伝い流れるのが解った。 『……』 気持ち悪い──そう思った矢先、後孔に竜一の指先が宛がわれる。 『……、っ!』 痛みで身体が大きく跳ね上がれば、次いで無機質に吐かれる台詞。 『痛ぇの、好きだろ──』 ……そんな訳、ない…… 突っぱねるように心の中で言い返すけれど、抵抗なんてできなくて。 腫れて傷になっている(ソコ)に容赦なく指が挿入され、腸壁(ナカ)を押し広げながら掻き回す。 ……ドロッ、 入口に痛みが走り、腹奥から寒気が迫り上がる。 まだこんなに、残ってたなんて…… シャワーの湯と共に、男達(太一ら)の吐き出した欲望が内腿に垂れ流されていく。 『……ぅ、』 その感覚に、吐き気を催す。
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