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第一章
「その時ぃぃぃぃ!」
「ひあぁぁぁぁぁ?!」
3月3日3時、休憩室。おやつの林檎のコンポートが芳醇な香りを放ちながら、テーブルのお皿の上で真っ赤に潤んで誘惑してくる。それなのに、サダオは恐さに絶叫していた。
「かさぶたをゆっくりと剥がす玲子は笑っていました。そしてぇぇぇぇ!」
「やめてぇぇぇぇ?!」
チャッポン王国国王、サダオに恐い話をしてくれるのは22歳のメイドのハルカ。彼女の話術は素晴らしいものがあった。しかし、何より顔だろう。美女が凄い顔をしてくれる。美女の顔がとにかく恐い。サダオはハルカの話を聞くのが大好きだった。
サダオは25歳。先王が早くに亡くなったため、19歳の時に戴冠した。現在未婚。チャッポン国民は主にモンゴロイドで構成されているが、西洋よりの文化を持ち、男性はスーツ、女性はコルセットとペチコートドレス姿が主流だった。
小さいながら、気候に恵まれた豊かな国で、昔は他国に狙われたが、今は国際連合に加盟し、安全を確保している。国民が食いっぱぐれない良い国なのだが、女性の地位は先進国最下位で、サダオ自身も何でかわからず、首をひねっていた。
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