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ある晩、サダオが寝室に入ると人影があった。藤色の愛らしいナイティを着たハルカだった。
「ハルカ、何だその格好は。それにこんな時間……」
ハルカは真っ青になっていた。
「今晩の国王様の夜のお相手をするように言われました……」
彼女はガチガチと歯がなっている。状況を飲み込んだサダオは度肝を抜かれた。
「ハルカ、無理をする必要はないのだ。よそで休んでくれ。夜伽はいらん」
「でも、私にはお仕事が」
ハルカはべそをかきはじめた。大方家族を人質に取られているのだろう。サダオは慌てて言った。
「そなたと、そなたの家族の安全を保証する。とにかく今夜は諦めてくれ。王命だ」
ハルカは泣いて退出した。
翌朝、サダオは若禿40代側近のタケシにブチ切れた。
「よけいな事をするんじゃない」
「でも、好きなんでしょ?」
「違う! 彼女とは友達なのだ! 彼女は彼女で好きな人がいるのだ!」
「取られてから後悔しても遅いのですよ」
「後悔なんかしない、彼女は友達だ!」
「あなたが彼女に恋してること、臣下全員知ってるのですよ」
「うるさい、うるさい、恋なんかするもんか」
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