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魔法の黒曜石
「……ぅ……ん…」
大きなフラワーアレンジメントに隠れるようにして重ねられた唇。
なんとなく触れられる指や寄せられる体に、そういう雰囲気を感じなかったわけじゃないけど、それでも実際そうなったらドギマギしてしまう。
男同士だってことは勿論のこと、そもそもこんなカッコいい人がこんな豪華なとこで、俺みたいな安っぽい子供を相手にするとは思えなかったから。
どんどん深くなる口づけ。さっきの甘いカクテルのせいか、それともこのはじめての雰囲気のせいなのか、ただでさえ気持ちいいキスに、もう、頭の中が溶けたみたいになった。
俺の中で優しく蠢いていた舌が去り唇が離されて、つい追いかけてしまう俺の唇に、ツッと慧史さんの指が這わされた。
「上に部屋をとってあるんだ。……いい?」
ああ……黒曜石だ。
この間学校で博物館に行った時に見た、その石みたいな慧史さんの瞳。
これは、魔法の石だと思う。
セックスはあんまり好きじゃないけど。
それでも、この目でこんな風に見つめられて、髪に触れられて、心を奪われない人間なんて、きっといない。
そもそもこんな風に優しく俺の許可をとってくれた相手なんて今までいなかった。
「……うん」
頷いたらまたキスをくれた。
熱い、この先を予感させる、キス。
気持ち良過ぎて。
いよいよ力が抜けて立てなくなった。
「大丈夫か?」
「……じゃない。気持ち良すぎて、俺、もう……だめ」
「駄目になるのは、まだちょっと早いな。続きはベッドの上で聴かせて?」
「……あ……はっ…んん……」
キスをしたまま何度も何度も、慧史さんの優しい指が乳首の周りに円を描くから、焦れるような、切ないような疼きが、キスの合間に思わず声になって漏れる。
「感じてくれてるんだ?……可愛いよ。輝」
「……ああっ……」
囁きと同時に膨れ上がった乳首を摘まれて、電気みたいな快感が走った。
「……ん……や……ぁ……」
親指の爪の先で転がすみたいに擦られたかと思うと湿った別の感触に包まれて、それが慧史さんが俺の胸の尖りを口に含んだからだってわかったら、たまらなくなって慧史さんの頭を抱きこんだ。
「ああんっ……」
十分な唾液で濡らされて、慧史さんが吸い上げる度にジュって音を立てるから、余計感じてしまって女の子みたいな声が出る。
それが恥ずかしくて自分の腕を噛んで我慢してたら、身を起した慧史さんに、やんわりとその手を外された。
「声を聴かせてくれないと」
「……ぁ…や……はずかしい……」
「じゃあなおのこと。恥ずかしがってる輝の声が、聴きたい」
「はぁん……っ!」
いきなりペニスに触れられたから声を殺す余裕なんてなかった。
ゆるゆると擦られ、先を親指の腹で撫でられる。
その間も胸は舐られ、捏ねられて、もう、どうしていいかわからなくって、泣きそうになった。
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