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「で、何があったんですか?」
席に座ると、私の元気の無さを心配してくれたのか、気を遣ってくれる啓介くん。
私は、お昼を食べながら、朝のシートベルトと、先ほどの美穂ちゃんの件を啓介くんに話した。
「なんか、怪しいっすね…。
他に何かないです?変わったことみたいなのは」
そう言われても、バッと思い出せるものは中々ない。
何か、あったかな…。
いつもと同じで、同じじゃないもの…
そう思いながら、ここ最近の誠司さんの動きを思い出す。
…あ、あった。
ここ1、2週間で変わったことがひとつだけあった。
「最近、携帯の画面を隠すようになった…かも」
ーそう。
ここ最近、今までは携帯を見たり、触ったりしていても何も言わなかった誠司さんが、
携帯の画面を見せたくないのか、私に見られないように注意を払っている。
ちょっと、不思議だなあとは思っていたけれど、あんまり気にしていなかったや。
「あれっすね。携帯の画面を隠すなんて、見られたくないものでもあるんですかね?」
目の前のご飯を口に入れながらそう言った啓介くん。
あながち間違っていないかもしれない。
もしかすると、見られたくない何かが入っているかもしれない。
そう思うと、気が気じゃなかった。
誠司さんを疑いたくない。
彼に不信感を持ちたくない。
けれど、この日を境に、私は誠司さんに違和感を抱き始める。
それは日々、少しずつ、少しずつと、大きくなっていくのを、私はまだ知らないー。
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