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歩美さんが姿を消してからあの人は私のに立っていた。
「起きろ、なんともないんだろう?」
「何ともないとは失礼ですねぇ、これでも結構痛かったんですよ」
そう、棗さんが用意してくれたのは血糊だった。
だからこそあらかじめそこに飛び込んで事なきを得たわけだ。
「なるほど、レンタルサービスとはよくできているものだ」
「まぁこちらも商売ですし、それよりも用が済んだのならさっさと清算してくれません?」
さすがにもう演技をするのも馬鹿らしくなってペルソナデータを削除。
いつもの私に戻ったところで今回の依頼料を計算し始める。
「およそ5時間にわたる貸出料が3万円、血糊オプションが三千円、デートプラン代案が1万円に破れた衣装の補填が1万できっかり53000です」
「中々するものだな」
「手切れ金の相場よりは安いんじゃないですか?悪いですけど1円たりともまける気はございませんので、現金一括でお願いします」
「ほう、それなら契約の延長というのはどうかな?」
やっと相手との縁が切れたのか手癖の悪さが私にも向いてきた。
「残念ですがその手の機能は付いておりません、下心見え見えですしこちとらこれで終わりにしたいんですよ」
「顧客の要望を叶えるのが君たちの役目ではないのか?」
「何事にも限度はありますので、ですからこれっきりにしておらえますか?」
「そうだな、では私の要求を呑むまで金は支払わないと言ったのなら?」
まぁその手の反応は想定してました、払おうとする気も無いでしょうこのクズ。
「警告しますがその手の発言は慎んだ方が身のためですよ」
「なら言おう、私はまだ満足してない。故に払う義務は発生しないと」
「そうですか、では自己保存及び命令系統の優先度を変更、平たく言えば意地でも払わせます」
丁度いい憂さ晴らしだ、女の敵め思い知りやがれ。
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