62話 木村 薫(11)

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 課長の慌て具合に驚きながら、スマホに表情されている記事を見る。それは以前、薫も見た事があるネットニュースだった。 「被害者の夫婦以外に行方不明の長男がいると書いてあるがよく見て! 『同居中の長男』と書いてあるんだ!」 「え!」  薫は記事を読み驚く。以前も読んでいたが、あの時は動揺し見逃してしまっていたようだ。こんな大事な情報を。  悠真はアパートで一人暮らしをしており、被害者夫婦の居住地からは遠く、通いは現実的ではない距離にある。  この記事が確かならば、悠真はこの事件を起こした長男ではない可能性がある。  二人は他の記事を探していく。  しかし同じような内容をネット記事から拾うことは出来たが、いずれにしても確実な根拠がない。警察に事件のことを聞かない限り確証などなかった。 「……そういえば愛美が言っていました。地域猫の農薬混入事件はあの人の弟がしたと町で騒がれたって!」 「え! ……そういえばあの時、そんなこと言っていたね。でも彼女の言うことだしな……」  互いに顔を見合わせ、溜息を吐く。  しかしそれが本当で噂が事実だとしたら……。  二人は一つの仮説を出す。まさか悠真は……。
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