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プツン。
薫の使用中だったスマホがいきなり真っ暗になる。
「……あ、また……」
薫はスマホを充電機器に繋ぐ。
「また切れたの? 君が寝ている時、勝手ながら充電していたのにね。前、彼女……。愛美さんとのやり取りを君のスマホで撮影した時も充電しながらなんとかだったし、ギリギリ過ぎるかな? この家、固定電話ないよね? いざという時電源切れていたら大変だし、対応した方が良いな。容量大丈夫? 嫌がらせで膨れ上がっていない?」
薫は設定を見直すが、やはり容量的に問題はなかった。
「アップデート出来てる?」
「え? えーと」
課長に確認してもらうが全て出来ていた。
「検索中に何度もアプリ落ちてたよね? これは容量が多い時や、スマホに負荷をかけている時に起きやすい。しかし今は動画とか音楽とかの使用はしていなかったし、おかしいな……」
課長はそう呟き、薫のスマホを見つめる。
「……少しアプリを見せてもらえないかな? 良ければだけど?」
「はい、お願いします」
以前よりスマホに違和感を持っていた薫は、課長に確認を頼む。
「ありがとう、すぐ返すからね」
課長は薫に見せながらスマホを触り、インストールされているアプリを見ていく。
するとその手を止め、表情と指が小刻みに震え始めた。
「課長?」
「……あ、いや……」
何を思ったのか、課長は自身のスマホを出し薫のスマホを何枚も撮影し始める。
「え? あ、あの……」
戸惑っている薫に何も話さず、あろうことか一つのアプリを削除してしまった。
「……勝手にすまない。しかしこれ以上、君のプライバシーを侵害させる訳にはいかない」
「……どうゆう……意味ですか?」
「このスマホ、盗聴アプリが仕掛けられていた」
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