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週明け。
出勤するなり、加奈子が微笑みながら駆け寄ってきた。
「真湖ー!」
「お、おはよう。」
「光太郎くんとどうだったの!?完全にお持ち帰り状態だったけど。」
「お持ち帰り状態って…朝から勘弁してよ。何にもしてないから。」
…た、多分ね。
心で呟いた。
「え、何だぁ、残念。私もあの後3次会まで行ったのに何にも無かったよ。でもさ、光太郎くんイケメンだったよね。大手企業だし、スポーツマンだし、真湖が狙わないなら私狙おうかなぁ。」
「べ、別に私の許可必要ないからさ。」
私はそう言って加奈子と分かれた。
自席に着いてスマホを開くとメッセージが届いていた。
「なぁにをニヤニヤしてんだ?それに、今日は随分お洒落じゃないか。」
正面に席がある先輩がからかうように言うと、私は我に返ってスマホを締まった。
あの日、私は長年想いを寄せていた彼、昂矢くんと連絡先を交換した。そして今日の夜会う約束まで出来たんだ。
絶対運命!私はそう確信して、仕事中も昂矢くんのことが頭から離れなかった。
私は定時ちょっと前から時計とにらめっこ状態で、定時と同時に執務室を飛び出した。
「あ、真湖!また合コンがさ。」
廊下で私を見つけた加奈子が話し掛けてきたが、「ごめん、急いでるんだ。」と言ってその場を通り過ぎた。
中学時代から10年以上想いを寄せている人とまさか付き合えるチャンスが来るなんて。この想いが強すぎて今まで彼氏を作ったことがない私は、未知な世界に飛び込むようなワクワクした気持ちで待ち合わせ場所に向かった。
3時間後。
私は昂矢と肌を重ねていた。初めての経験は痛いという思いを越えて幸せを感じていた。
私の中で果てた昂矢が私にキスをした。
「新垣さんが俺のこと好きだったなんて知らなかった。」
「…下の名前で呼んで。こ、昂矢…くん。」
「…ま、真湖。」
見つめながら言われた私は照れ隠しに、自分から昂矢に激しいキスをした。昂矢もそれに応えるように舌を重ねた。
絶対運命の人…幸せ。
私たちは朝まで何回も肌を重ねた。
勿論、今日は仕事が休みなわけではない。昂矢の声で起きた私は時計を見てまだ余裕があることを確認すると昂矢にキスをした。
「またしたくなっちゃうから。」
昂矢は優しく私を離した。
「したいならすればいいよ。」
私はそのまま昂矢に覆いかぶさるようにキスをした。スイッチが入ったのか昂矢も舌を重ねて応えた。行為が終わって時計を見ると、予想以上に時間が経っており、私たちは慌ててホテルを出て自宅までタクシーで帰った。タクシーの中で私はずっと昂矢の手を握っていた。
初めてこんなに幸せを感じることができた。思い続けていて間違いなかった。
私は幸せな気持ちのまま、シャワーを浴びてから出勤した。
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