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医師的には一日入院を勧めて来たが、私は無理を言って退院し、昂矢と約束の場所に来ていた。
病室のベッドに居る時は治まっていた痛みだったが、この場所に来る途中、痛みは増していた。
昂矢と合流すると、特に深い会話もないままいつものホテルのいつもの部屋まで来て、いつも通り昂矢は服を脱ぎ始めた。
私はまだ昂矢に言えていない。
「あ、真湖。今日は、昨日と違うオモチャ持ってきたから。」
昂矢が目も見ずに言った。
「…そう。」
覇気のない私の声に昂矢は視線を初めて向けた。
「どうかしたの?」
「…あのさ、私、毎日…たくさんしててさ…下腹部が痛くて…今日、病院に行ってさ。」
「え!?そうなの?大丈夫なの!?」
心配そうな表情をした昂矢を見て、私は嬉しい気持ちになった。
「あ、うん。だからその…。」
「じゃあ今日は…」
私はしなくても昂矢と一緒に居れればそれで幸せ。
「激しくないのがいいな。」
「え?」
…するの?私が病院行っても?昂矢にとって私って…どんな存在なの?
昂矢はベッドに寝転び、私が横に来るのを待っていた。
…好きな人。「好き」…あれ、私、昂矢に「好き」って言ってもらったことあったかな?
「真湖?早くおいでよ。」
私は考え事をしながらも、昂矢に言われるがまま服を脱いで横に寝そべった。昂矢は何も言わずに唇を重ねてきた。
この唇を重ねる行為は「好き」って意味だよね?
今私の身体を求めてくることは「好き」って意味だよね?
きっと昂矢は言葉じゃなく、行動で気持ちを伝えてくれてるんだよね?
光太郎に好きだなんて言われて余計なこと考えちゃった。…きっと、いや絶対そう。昂矢は私が好き。私がいないと駄目なんだ。昂矢にとっても、私が運命の人。
「っ!?」
痛みで我に返ると、昂矢はいつもの通り、私の中に入ってきていた。
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