改札口で待ってます

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 いよいよ、盲学校での初めての授業。  今までたくさんの勉強とか、練習とか色々してきたわけですが、正直言いますと、ものすごく緊張しています__  授業と言っても、ひらがなや計算を学ぶわけではなく、もっと基本的な、「動作」や「行動」を学ぶ。もちろんその後、ちゃんと文字や計算も学ぶけれど。  今ではほとんどの学校にはあるであろう「特別学級」と言った教室。人気で入れないこともあるそうだ。  その「特別学級」とこの「盲学校」がやっていることはほとんど同じ。他の子供たちには遊んでいるように見えたりすることもあるみたいだけれど、実は違う。  「生きることの基本」を学ぶのだ。  「勉強」において全てがそうだが、別につるかめ算やニュートン算ができなくても、人間は生きていける。だが、そう言ったことではなく、もっと大切な、根本的なものを、遊びの形式で楽しく知る。  つまり、「にぎる」「つかむ」「食べる」「飲む」「話す」「聞く」…など、これらの基本的なことをきっちりできるようにしてから、文字も計算も学んでいく。  人よりも遅れていても、できないことがたくさんあっても、そういう子たちが集まる専用の場所だから、安心してじっくり学ぶことができる。自分にコンプレックスを感じず、あせることもなく。  保護者たちは、たぶんそういう理由で盲学校を選ぶのだろう。  私はまだ盲学校がどういうものなのか、どういうふうに有ればいいのかよくわからないが、自分は「目が見えない」こと知っている。  それを活かして、子供たちに寄り添うことができたなら…  私の夢は、きっと叶う。  
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