私、目が見えません

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私、目が見えません

「え…」  ホームページを開いた瞬間、飛び込んできた言葉。 『盲学校教師試験の合否通知について 美桜さん 合格』  信じられなかった。 いや、信じられないどころではない。  これは夢なのかとさえ思った。 「んぐ~~っ」  思い切り頬をつねってみる。  じわりと、涙が滲んできた。やっぱりこれは、嘘じゃないらしい。 先ほど潤んできた涙を追うように、後から後から涙が溢れてはこぼれ落ちた。10分くらい、涙は止まらなかった。  試っても拭いきれない涙が、今までの私の頑張りを認めてくれているみたいに、きらりと光った。  私は、今思っても、すごく頑張ったと思う。  勉強しているときは、もはや疲れなんて感じていなかったけれど、それはやっぱり疲れすぎていたからなんだと思う。  受験勉強中は、朝から晩までずっと勉強しっぱなしだった。 朝5時くらいに起きて、7時まで勉強して、10分く らいで軽く朝ごはんを食べて、それから2時くらいまで勉強して、コンビニのランチ。 それから2時30分には 勉強開始で、そこから11時くらいまで勉強して、0時に寝た。  そんな日が何ヶ月も続いて、それでも私は疲れを感じなくて、感じられなくて、ずっとおかしかったんだと思う。 疲れ切って、疲れ果てて、なんて言葉じゃ表しきれないくらいに、すごく、ものすごく疲れていた。  でも私はなぜか体調を崩さなくて、それが今、反動しているところだ。疲れていたせいで体の反応まで鈍ってしまったみたいだけど、ちゃんと体調は崩した。嬉しいのか嬉しくないのかよくわからないけど、今はとりあえず合格できたことが嬉しくてたまらない私であった。
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