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01 ざまぁされた王子の婿入り?
事件から一カ月後。
舞台は変わり、この国の最南の島、ルロワ辺境伯領。通称ドラゴン島。
自然豊かな島には大きな湖があり、その湖に浮かんだ島に辺境伯の屋敷があった。
その屋敷に住むのは、ブルーノ・ルロワ辺境伯と一人娘のエリン。
朝食の席にて。
天気の話題のように軽い口調で辺境伯は話し始めた。
「リュドヴィック王子の事件、覚えてる?」
「あの日のことを忘れられる人はいないでしょうね」
パンを齧りながらエリンは答えた。
エリンは王子たちと共に卒業した生徒の一人だった。
リュドヴィックとシャルロットのことを思い出す。二人は生徒皆の憧れのカップルだった。
しかし聖女だと名乗るチヒロが転入してから、二人の仲に亀裂が入ったという噂があり、三人と全く関係のないエリンでも見かけた時に様子がおかしいと感じることもあるほどだった。
そして、あの断罪・追放である。詳しい背景は知らないものの、全ての生徒に大きな衝撃を与えた。
上級貴族とあまり関わりもなく、卒業後すぐに島に帰ってきたエリンは詳しくないのだが。
「大変な事件だったな」
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