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男が王族だと見抜いていたリリシャはにこりと笑う。
ロクシーヌは男の母、つまり王妃のことである。
「王妃といえど、側妃ですよね」
「何故知っている?」
ロクシーヌの存在は社交界から12年前に抹消されていた。
それでも完全にというわけではない。
その情報をしっているのは男とリリシャ、現国王ほどである。
「さてと、この情報を知っているのは今のところ、私だけなのでご安心ください」
「安心できない」
「とにかくです。私に従ってください」
「私の権力を使えば、薬師なぞ処分できるが」
「あら、そうですか。私を処分したら貴方も命を落とすと思われますが......」
「どういう意味だ? 仲間に頼むのか? 意味がないと思うが」
「仲間に頼まなくても貴方は勝手に死んでいくと思いますけど、まあいいです」
リリシャはあの村のことを思い出す。
あの薬はリリシャの改良が加わった、特別な薬だ。
改良前の薬では助かるのは3分の一ほどでしかない。
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