第二章 スタリンティアの花の隣

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「僕はね、女神の分身についていきたかっただけなんだ」 ルルクの小さな呟きはリリシャの耳に届かなかった。 「ルルク、話の続きはまた今度にしましょう。それよりあれに興味があるわ」 リリシャの視線の先は雲の下、宮廷へと続く道の方へ向けられていた。 赤紫と銀の馬車―子爵家の馬車だ。 その後ろから、別の馬車がついてきている。 どう見てもこの国の馬車ではなかった。 「ルルク、急降下するから。宮廷に一刻も早く帰るわよ」 「ふえっ!」 リリシャは箒に魔力を込めた手で触る。 箒は一瞬にして速度をあげ、宮廷の方へ向かっていった。 。.:;*。 。.:;*。 。.:;*。 「リリシャ!」 鈴の様な声がリリシャに声をかけた。 「ノア様」 「他国の重要客人が貴女をお呼びされているわ」 「それはまた何故?」 「貴女の噂を信じてやってきたようね」 「噂?」 「知らないの? とりあえず、四棟の客間に待機するように言ってあるからすぐに行きなさい」 リリシャは頷いた。
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