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「僕はね、女神の分身についていきたかっただけなんだ」
ルルクの小さな呟きはリリシャの耳に届かなかった。
「ルルク、話の続きはまた今度にしましょう。それよりあれに興味があるわ」
リリシャの視線の先は雲の下、宮廷へと続く道の方へ向けられていた。
赤紫と銀の馬車―子爵家の馬車だ。
その後ろから、別の馬車がついてきている。
どう見てもこの国の馬車ではなかった。
「ルルク、急降下するから。宮廷に一刻も早く帰るわよ」
「ふえっ!」
リリシャは箒に魔力を込めた手で触る。
箒は一瞬にして速度をあげ、宮廷の方へ向かっていった。
。.:;*。 。.:;*。 。.:;*。
「リリシャ!」
鈴の様な声がリリシャに声をかけた。
「ノア様」
「他国の重要客人が貴女をお呼びされているわ」
「それはまた何故?」
「貴女の噂を信じてやってきたようね」
「噂?」
「知らないの? とりあえず、四棟の客間に待機するように言ってあるからすぐに行きなさい」
リリシャは頷いた。
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