第二章 スタリンティアの花の隣

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「面倒な」 目の前にいる面々を見てリリシャはそう思ったというわけではなく言う。 「久しぶりだね。リリシャちゃん」 「いつ、ちゃん付けになったのでしょうか?」 子爵とリリシャ。 それぞれが対面でソファに座る。 「なんの用でしょうか」 「本当は私も色々とリリシャちゃんに質問があるのだけど、今日はこの客人が知りたいことがあるそうで。ちょっと、案内しただけだ」 「そうですか……で?」 リリシャのゆっくりとした声が目の前にいる男に突き刺さる。 「私は、隣国の者です」 そんなことは知識が深いリリシャにはすぐにわかる。 男の着ている服が異国風だったからだ。 「名前は名乗らないのですか……」 「すみません。事情がございます。時間がないので仕方なく、本題に移らせてもらいます。助けを求めます」 リリシャはその言葉で目を鋭く細める。 男はそんなリリシャの目線を軽く受け止めた。 おかしい。相手の思惑が読み取れない。 リリシャは心の中で溜息をついた。 「助けを、とは? 病気関係なのでしょうね?私は魔女という肩書はありますが、薬師ですよ」
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