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数日後、治安維持局局長に朝から呼び出されたため治安維持局本部に向かっていた。
天まで届きそうなくらい高い治安維持局本部はバベルの塔のようだ。局長はニムロデだろうか。言語をさらに分けられてはたまったものじゃない。
「ま、そんなこと起きないでしょ」
最近はそんなひたすら高い建造物ばかりだ。今更言語を分けるなんて言い出しはしないだろう。
なんて、くだらないことを思いながら遅れ気味のため急いで局長室へと向かう。
数分後到着。局長室の扉を開ける。机と窓しかない殺風景な部屋が視界に映る。
「失礼局長、先日の件で不手際でも?」
部屋の奥にいた濃紺のスーツに身を包む男、局長の方に目をやる。
「いや、先日の活躍は見事だ、実に良い仕事をする。流石は国内指折りの処理屋だ」
局長は一切表情を変えずに答える。相変わらず不気味だ。
局長は自身の携帯端末を操作する。
「次の依頼だ。ファイルを共有する、端末を確認したまえ」
確認すると、携帯端末の画面には次の標的のアンドロイドについてまとめたプロファイルが映し出されていた。
眼鏡をかけた、爽やかそうな男性型だ。
「こいつが次の標的だ。デザインタイプは男性やせ型、こいつは逃げているネクサスシリ―ズを集めている、いわば組織の長だ。報酬は三倍出す、即刻処理してもらいたい」
珍しく局長の声のトーンが少し重い。
「集めてねぇ……革命でも起こすんすかね」
プロファイル内の行動パターンを開く。ここ数週間街の資料館に頻繁に出向いている。確かに何かしら企んでいそうだ。
「即刻ってことはそれほど危険性が高いんですか?」
局長は即座に頷く。
「こいつはネクサスシリーズのまとめ役だ。こいつの指示で被害を起こしているのなら始末するに限る」
確かにそれは放ってはおけない。一通りプロファイルに目を通し、局長の方に視線を向け直す。
「わかりました、今から処理に向かいます。やり方は前回同様、こちらの自由ということで」
「勿論だ。今回も期待している」
では、と局長に一礼して、部屋を出ていく。
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