夜焚きに至る-よたきにいたる-

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   日曜日、仕事も休みでコンビニに昼飯の弁当を買いに行った帰り、空き地の向かいにある家の前にパトカーが数台と救急車が駐まっていた。  黒と黄色のストライプに、立ち入り禁止と書かれたテープで道路の半分くらいに規制線が張られた内側に、制服警官が数人いた。  家の中には、もっと沢山の人がいる事が外からも窺える。  一体、何があったのだろうと規制線の前にたむろしているおばさんたちの声に、少し離れた所から聞き耳を立てる。 「なに、泥棒?」 「物々しいわね」 「強盗とかだったら怖いわ」  すると、青いビニールシートにくるまれた縦長の何かが、担架で運ばれてきた。注意しながら門の前にある三段の階段を降りて、救急車に運び込まれる。 「やだ。三つって」 「うそ……。家族みんな?」 「お子さん、まだ小さかったんじゃないの?」  おばさんたちが、痛ましい顔をしながら小声で言い合う。  どうやら、家族全員が死んでいるようだ。無残な出来事に俺は、なんともいえない気分になった。
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