夜焚きに至る-よたきにいたる-

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   しばらくすると、制服警官がおばさんたちの所にきて「すみません。この家の方を知っている人、仲が良かった人、よく見かけていた人は、お話を聞かせてもらえますか?」  家族について聞き込みを始めた。俺はまったく面識がなかったため、そのまま家に帰ることにした。  それから数日が過ぎ、「あらあ、こんにちは。いまからバイト?」 「あ、はい」  噂好きのおばさんにつかまった。愛想笑いで軽く会釈すると、話したくて仕方が無かったのか開口一番、あの事件について勝手に喋り始めた。 「あそこの奥さんと仲の良い女性が訪ねて行ったら、玄関ドアが少し開いてたんですって。呼び鈴を何度鳴らしても返事がないのに、変だなーと思って入ったら……」  おばさんは、あとの言葉を切って、すくめた肩をぶるると震わせた。  その女性が見た光景は、あまりにも凄惨だったそうだ──台所で奥さんが、リビングで旦那さんが、子供部屋で息子さんが──それぞれに亡くなっていた。  それも、何かとても怖いものを見たような凄まじい恐怖の面を貼り付けて、あちこちから血を吹き出して倒れていた。
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