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「それでねえ」
それだけでも怖いと思えるのに、おばさんの口からはさらに恐ろしい話が紡がれた。
おばさんは顔を近づけて、俺の他は誰も聞いていないのに、小声でささやくように「みんな、窒息して亡くなってたらしいのよ」
「え?」
「苦しそうに首をかきむしってて、干からびてたんだって。体中の水分がほとんどなかったみたいよ」
あまりにもの形相に、刑事たちも驚いて思わず後退ったとか。
「事情を聞くために彼女の家に行った刑事さんたちね。発見したときの状況を聞き出すのも大変だったらしいわよ」
第一発見者の女性は、とにかく怯えきっていて、今も家から一歩も出てこず引きこもっている。
「そうなんですか」
そんなに怖い光景だったのかと、聞いた俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。おばさんは話した事で満足したのか、すぐに家に戻っていった。
そうして、門の柱に規制線の張られた家には視線を向けず、空き地の穴をぼんやり眺めて足早に通り過ぎた。
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