第1章~選択~

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ガチャ 「ただいまー」 !? つばさはびっくりして 玄関に走って行くと 勝矢がいきなり怒ってきた。 「ちょっと!!なんで走ってくるの!? お腹!赤ちゃん!!気をつけなきゃ!!」 そう言ってつばさのお腹を優しく擦り ママに似ちゃダメだよーと 冗談を言う勝矢がいた。 リビングから沙織里が出てきて この時初めて顔を合わせた2人だった。 「あ、初めまして。お邪魔してます。」 「こちらこそ初めまして。 いつも妻がお世話になってます。」 「いつもお世話してますー。 つばさちゃん、ご馳走さま。 すっかり話込んで時間忘れてたね。 あたし子供の迎えあるからもう行くね。 お邪魔しましたー。」 沙織里が出ていくと 勝矢と話をしながらリビングに向かった。 「楽しかった?」 「うん! 沙織里さんの冗談がキツかったけど、 そういう人なんだろうね。」 「俺はなんか苦手なタイプかなー でもつばさが一緒に居て 楽しいなら良かったね。」 こうしてつかの間の 平和な1日が終わっていった。 翌日からつばさは 猛烈な吐き気と便秘からくる腹痛、 不快感に襲われ始めた。 病院に行き漢方薬を処方してもらうが あまり効かずトイレに長く 籠る様になった。 次第にイライラも増えていき ついつい勝矢に当たってしまう。 勝矢がそんなつばさを心配して 会社に来るヤクルト販売から 種類豊富に買って帰り、つばさに渡す。 安定期に入っても 夕飯を作るのが辛かったり 寝込む事が増え 勝矢も心配していた。 それからしばらく経ち つばさの体調が落ち着いてきたのは 7ヶ月を過ぎてからだった。 「勝矢・・・ごめんね? いっぱい我が儘言ったり ついつい当たっちゃって・・・」 「いいよ別に。気にしてないし。 それにそうなってまで お腹の中で必死に赤ちゃんを 守ってくれてるんだし俺は 逆に感謝してるよ?ありがとう。」 2人は微笑み合いキスをして ゆっくり出産準備を始めた。 臨月に入るとつばさのお腹は その大きさから歩くのも 大変になっていった。 勝矢は必死に名前を考えていた。 将来、子供達が幸せになれる様に ギリギリまで悩んでいる姿が つばさにはただただ愛おしかった。
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