春の夜明け~エピローグ~

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街中の雑騒。 人々の歩く音。 車やバスの行き交う音。 このビルが建ち並ぶ景観にある 大して目立つ事もない 地味でもない ありきたりなカフェの一角。 「今日、4月23日は!なんと! ギリシャ神話、イカロスの 誕生日だそうです! ギリシャを始め近隣諸国は 盛大な祭りを催し、 イカロスの為にと 火を灯した小さな気球を 空へ飛ばすのが習わしとの事で、 火の取り扱いには十分 注意して欲しいですねー 次のニュースです。」 隣の家電製品店から 流れてくるニュースに 耳を傾けながら ほろ苦いエスプレッソを飲む 1人の女性。 日曜日の朝8時。 彼女はエスプレッソを半分程飲むと 小さなため息をつき、 店を後にする。 [[こんな国・・・ 海に沈めば良い・・・]] 彼女はそう思いながら ギリシャへ行くため 空港へと向かった。 「ご搭乗誠にありがとうございます。 当機はまもなく離陸致します。」 旅客機に響くアナウンス。 [[・・・イカロス・・・ あなたはどんな思いで 人生の幕を閉じたの・・・? 誰かを恨んだ? 誰かに陥れられた? ねぇ・・・イカロス・・・ あたしももう飛べなくなったわ]] 目を閉じて 心の中で話しかける 彼女の声は イカロスに届いたのだろうか。
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