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翌朝、スマホが光っているのに
気付いたつばさは、
通知を開いて見ると沙織里から
メッセージが来ていた。
『昨日はありがとうね。
姑が貰った野菜で
色々料理したんだけど、
美味しいのと不味いのの
差が激しくて、まじ食材
無駄にしたなって感じ!
超あり得なくない?』
つばさは、
なんとも言えない気持ちになったが、
シカトするわけにはいかないと思い
返信した。
「おはようございます。
それは残念でしたね。
でもまだまだあるんで
またそのうち持っていきますね。」
返信してから数日経ったある日。
[[あ、スマホ光ってる・・・]]
つばさは、スマホを開くと
沙織里からのメッセージを読んだ。
「うちの人から聞いたけど、
つばさちゃんも写真好きなんだ?
展示会とか結構行ってるんだって?
自分で撮ったりもするの?」
豊から聞いたのか、
つばさが写真好きという部分に
沙織里はえらく食いついてきた。
「実はあたしも写真好きなんだ!
まぁ見る専門だけどね。
今度一緒に行かない?」
同じ趣味で、自分が好きな物を
否定しない沙織里に
つばさは心を開き始めていた。
[[意外な共通点あったんだなー]]
数日後、
1ヶ月限定展示会の
広告を見つけたつばさは、
沙織里に連絡し、
2人はわくわくしながら
隣町へと向かった。
展示会のテーマは
『~神話~神の住む世界~』
というものだった。
2人は展示場の扉を開けると
あれも素敵、これも素敵と
静かにしながらも楽しんでいく。
一番奥に差し掛かった時、
つばさの目に1枚の写真が入ってきて
何故か足を止め
その写真に見入ってしまった。
その写真はギリシャの写真だった。
写真の下にアクロポリスが写り
独特な町並みと
真っ青な海、少し厚い雲があった。
写真中央から
少し右に天使の階段と呼ばれる
太陽の光が一筋差し込んでいる。
光の中に
何か小さい影のような物が写っていて、
つばさはその影から目が離せなくなった。
それは沙織里がどんなに話かけようとも
振り向く事なく
その空間にはまるで
つばさとその写真しかないような。
そう思えるほどに
彼女はしばらくその写真を見つめ続けた。
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