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「雷哉さん、夕飯はレトルトカレーの予定なんですよね?」
「うん。料理する時間ないし、引越し初日って感じでいいだろ?」
「じゃあ、新しいレンジでわたしが用意しますね」
彼女が段ボールの間をぬってキッチンに入っていく。
「先にシャワー浴びてください。たくさん荷物運んでもらって、汗かいちゃいましたよね」
「ああ、じゃあそうしようかな」
「カレー作って待ってます。あっためるだけですけど」
「引き出しとか、どこ開けてもいいから。皿は適当に使って」
「了解しました」
敬礼した美玖の笑顔に送り出され、バスルームに向かった。男のシャワーなんか五分で終わる。タオルで体を拭きながら目を向けると、洗面台に、レンジと同じ店で買ったドライヤーが見えた。いずれ彼女も使うかもと期待を込めて選んだ、ナノなんちゃらというちょっといいやつだ。
コンセントを差し、スイッチを入れる。その瞬間──
バチン!
派手な音がして、あたりが暗闇に包まれた。
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