無色な 運命

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無色な 運命

目を引く美貌と、類まれない行動力を持つ彼女であったが、唯一告白する【勇気】だけは持ち合わせていなかった。 神様は、二物は与えても三物は与えない様だ。 (私にも一つくらい分けて欲しいものだよ。全く。) その後立花さんは赤面しながら、それでいて満更でもない表情で帰っていった。 どうやら、急いでいたのは本当の事だったみたいだ。 一人教室に残った。残された私は振り返る。 彼女の言う【運命】は、一般から外れたモノかもしれない。 ここ数日私が触れた運命は、みんなそれぞれ違う色をしていた。 時来 花歩の、純粋無垢な【白い運命】。 立花 南の、燃えるような【赤い運命】。 それぞれ真剣に【運命】というモノに向き合っていた。 きっとどれも正解なんだと思う。 きっと【運命】に決まった色なんて無いのだろう。 そう。無色透明の様に、彼女らの目というフィルター越しに【運命】は何色にも色を変えて輝くのだ。 やっぱり、人間観察って楽しい。 でも。 でも、一つ気になる。 彼女たち、実は有馬君の恋人が私だって知ったらどんな顔をするだろう。
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