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衝撃の告白
「平時は石棺にこもって結界を張る私が、有事には石棺から出る意味を皆さんはご存知ですか?」
命様の問いかけに右京が応えた。
「鬼の邪気は強力だから、命様に直接祓ってもらわないといけないから?」
「そうです。鬼から祓った強力な邪気はそのままにしておけば再び災いの種となります。ですから私が直接祓ってこの身に引き受けなければならないのです」
「命様の身に引き受ける!?」
理人は思わず聞き直した。
「我々結界守は鬼の邪気を祓うのではなく自らの体に留めるのです」
「そんなことをしたら、命様は、どうなっちゃうんですか!?」
菜々花は震える声で尋ねた。
「先の討伐では、私の母が結界守を務めておりました。邪気を蓄えると体が黒変し固くなります。これを石化病と呼びます。
石化は足から始まり、徐々に体を蝕んでいきます。石化が心の臓に達すると結界守の体は死に至ります。
体の死んだ結界守は、首だけを術で石棺に封じ、次の結界守が育つまで、結界を維持します」
命様の衝撃的な話に誰も何も言えなかった。
倭は目の縁を真っ赤に染めて黙ってうつむいた。
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